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ヘルニアについて                                                                 症例一覧

ヘルニアとは

 臓器の一部、または全部が体壁や体内にある隙間を通って、本来の位置か

ら逸脱した状態をいいます。

 最も頻度の高い、鼠径ヘルニアについて説明します。

  

 鼠径(そけい)ヘルニア

 

  本来ならお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、鼠径部(鼠径とは下腹部

 から足の付け根部分のこと)の腹壁の弱い所から腹膜の一部が嚢(ふくろ)とな

 って突出し、皮膚の下に出てくる病気です。一般的には脱腸(だっちょう)と呼ば

 れます。

  乳幼児から高齢者まで幅広く起こりうる病気です。乳幼児の場合は先天的な

 要因がほとんどですが、成人の場合は運動不足も含め身体の組織が弱くなるこ

 とが要因です。

  特に40歳以上の中高年男性に多くみられます。

       

鼠径ヘルニアの症状

 鼠径部に不快感や痛みを自覚する

  

 ・立った時やお腹に力を入れた時、鼠径部に柔らかい腫れを感じる。

  

 ・鼠径部の腫れを指で押さえると引っ込む。

 

下矢印
  

● 鼠径ヘルニアを放置すると?●

   

    痛みなどの症状を感じるようになります。「長時間立っているのが辛い」,「息苦しい」 「ときどき、鋭い痛みが走る」

    「お腹が突っ張っている感じが常にする」など。生活に支障が出てきてしまうので、ストレスにもなってしまいます。

    

 嵌頓(かんとん)状態

  

  ヘルニア部分が筋肉でしめつけられ戻らなくなった状態になってしまいます。この状態を嵌頓状態といいます。

 

  鼠径ヘルニアを放置していると、この嵌頓ヘルニアになってしまう危険性があります。 腸が嵌頓を起こすと腸の中を食

 べ物が流れていかなくなってしまい、腸閉塞(ちょうへいそく)を起こします。

  また、しめつけられた腸に血液が流れなくなり、腸の組織が死んでしまい(壊死=えし)、腸穿孔(ちょうせんこう=腸が

 破れる)、腹膜炎(ふくまくえん)となり命に関わる場合もあります。嵌頓は、いつ起こるのか予想ができません。

  原則として、すべての鼠径ヘルニア(脱腸)の患者さんが治療(手術)の対象となります。また、もし嵌頓が起きた場合

 には緊急手術が必要になります。腸の壊死があった場合には腸を切除しなくてはならないこともあり、長期入院が必要

 になります。

 

  普段の数倍の大きさになり戻らないときにはすぐに医療機関を受診してください。

 

鼠径ヘルニアの治療

 

                           腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術

                  − TAPP法(trans abdominal pre peritoneal approach)−


    従来の鼠径ヘルニアの手術は鼠径部を5cmほど切開する開腹手術(従来法)です。 当院では、最新のメッシュを

   使用した腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP法)を行っています。

  

   従来法と比較して、

 

      @傷が小さく痛みが少ない

      A入院期間が短い(2〜5日程度)

      B術後の違和感が少なく、日常生活に早く戻れる

      Cヘルニアの状態をお腹の中から正確に把握・診断し、確実に修復するため再発が少ない

 

   などの利点が挙げられます。

    

                       腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP法)の実際

 

 お臍に10mmの穴をあけて内視鏡をおなかの中に挿入し、腹壁に開いた穴(ヘルニア門)を確認し、メッシュシート

を穴にあてて閉鎖します。

 腹部には2〜3個の5mm程度の小さな穴をあけて手術施行しますが、それらは手術後、時間が経てばほとんど目

立たなくなります。

 手術の当日に入院していただき、術後2〜5日で退院となります。



 最後に、全てのヘルニアの患者さんに対し、この手術法が可能というわけではありません。

 

 全身状態が不良で全身麻酔が不可能な方、過去に開腹手術を繰り返し受けた方、嵌頓により腸管壊死を起こし

てメッシュが使用できない方では、内視鏡手術を行うと危険な場合もあり、従来法を選択する場合もあります。

 当院では根治度、安全性を保ちながら、できるだけ患者さんの負担を軽くするような手術を心がけています。

 

 この術式に関してご質問等がありましたら、外来でご相談下さい。

その他のヘルニア

 腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニア

 

 腹壁瘢痕ヘルニアは腹部手術の合併症のひとつで、以前に受けた腹部手術の傷跡のところにできるヘルニアです。

 開腹手術ではお腹を閉じるとき皮膚・皮下組織、筋膜、腹膜を縫いますが、いろいろな理由(肥満、初回手術の

縫合不十分、筋膜の脆弱性(ぜいじゃくせい)など)で腹壁の癒合(ゆごう)が不十分であった結果、隙間ができて

しまい、その隙間から腹腔内の臓器(腸管や脂肪など)が脱出するようになった状態です。

 ヘルニアの大きさにもよりますが、鼠径ヘルニアと同様に臓器が戻らなくなってしまう嵌頓状態になる危険性も

あります。自然に治ることはありません。治療は手術が原則です。従来法は開腹手術ですが、当院では症例に

よって腹腔鏡による体に負担の少ない手術を中心に行っております。

 

 傷跡の近くが不自然に膨らんだり、違和感を感じた場合は当院外来でご相談ください。

 

 

                        腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア手術の実際

 


 大腿(だいたい)ヘルニア

 

 大腿ヘルニアは、鼠径ヘルニアよりも太ももに近いところが膨(ふく)らむヘルニアです。

 原因としては、鼠径ヘルニアと同じように、加齢などにより筋肉や筋膜が弱くなることや、重たい物を持つなど

腹圧がかかりやすい状態が続いたときに起こりやすいと言われています。

 大腿ヘルニアは中年以降の女性に多くみられます。特に、出産を多く経験した痩(や)せ型の女性に多いと言われ

ています。その理由としては、女性は男性に比べ、大腿輪(だいたいりん)と呼ばれる鼠径靱帯(じんたい)の下の

隙間が広いこと、出産により大腿輪周囲の筋肉や筋膜が弱くなることで、腸などがお腹の中から出てきやすくなる

ことなどが挙<げられます。

 


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