医療法人社団公仁会は、初代槇殿順が我が国で最初の放射線科単科の医院として開業して以来、約半世紀を経て今日に至りました。
この間、公仁会が一貫して行なってきた「医療」とは、患者さん一人一人に対する限りない愛情を原点とした「最高のお世話」と「最大のお節介」です。
初代 槇殿順は「最高のお世話」の手段として画像診断による医学の重要性に早くから気付き、がんの早期発見・早期治療に取り組みました。この遺志はその後も受け継がれ、各時代における最新画像機器を駆使した医療を実践しております。患者さんの心身にとって負担をかけない十分な配慮のもとに、さまざまな工夫と細やか気配りを怠らないように心がけています。
現在も当法人の医療施設では、医師たちががんに対して挑戦を続けていますが、これも槇殿順の遺志を継ぐものです。
槇殿順は、一人でも多くの進行がんの患者さんを救いたいとの一念から、がんの免疫療法に取り組みました。
当時、我が国では、がんの免疫療法を考える人は少なく、その成果を1966年大阪において開催された日本癌学界第25回総会で発表した時、当時のほとんどの人が理解を示しませんでした。しかし今日から見ると、世界の主流となったがん免疫の考え方が、すでにその頃から打ち出されていたのです。
「最大のお節介」として、槇殿順は患者さんをその生活や人生を含めて理解しようと努めました。患者さんから「病気」だけを採りだして診るのではなく、「病気を持つ人間」として患者さん自身とその家族を共に見つめ、時には家庭訪問なども視野に入れて助力を惜しまないという姿勢で診療に臨んでおりました。
こうした初代槇殿順の医療姿勢を記念して「医療法人社団公仁会」は命名され、今もこの医療姿勢は職員全員に受け継がれ、地域の医療に貢献しています。
koujinkai-ismとは、この医療姿勢の思想を謳ったものです。
近代の医学は疾患の治療という点においては、長足の進歩を成し遂げてきました。かつては不治の病と言われていた多くの病気を今では簡単に治すことができるようになっています。ただその一方で、患者さんを一人の人間として迎えるhospitalityという点について、病院のスタッフにも、ハードにも反省すべき点が多々あることは否定できないでしょう。
そこで最近では」、患者さんのQ.O.L(quality of life =生活の質)の向上とか「全人的医療の実践」といったことが盛んに言われています。
私たちは「おせっかい」と言います。「おせっかい」とは人と人との生き生きしたかかわり合いを指す言葉だと思います。人と人との生き生きしたかかわり合いの中で、「治療」という狭い枠にとらわれず、生活基盤となる健康管理の面から「世話を焼かせて欲しい」、というのが私たちの「思い」なのです。