トップページ > 症例 > 胃がんについて

症例                                                                                                      症例トップ

胃がんについて症例一覧

槇殿順記念病院の胃がん診断・治療の特徴

 

 

●高精度の内視鏡診断技術により表在がんの早期発見に努めている

 

 

●早期胃がんに対し、低侵襲な内視鏡治療、腹腔鏡治療を行っている
イラスト(胃)

胃について

胃は食道に続く嚢状の臓器で、食べたものを一時的に蓄えたり消化したりする働きをしており、食道から続く胃の入り口部分(噴門部)と十二指腸に続く部分(幽門部)、それ以外の部分(胃体部)から成っています。胃の壁は内側から粘膜(M)とその下の粘膜下層(固有筋層(SM))、その下の厚い筋層(MP)、一番外側の薄い膜(漿膜(SS))でできています。

 

噴門部
胃体部
幽門部

胃がんについて

日本では、年間に約130万人が亡くなり、その約3人に1人ががんで亡くなっておられます。 その中でも胃がんは2番目に多いがんです。 男性は約3万人、女性は約1.6万人が胃がんで亡くなり、男性の約9万人、女性の約4万人が胃がんを患っておられます。

胃がんは、早く発見されれば、とても治りやすいがんです。このことは、胃がんの検査法、特に内視鏡検査の普及率上昇により、罹患者(病気にかかる人)数が増加するなかにあっても、年々死亡者数が減少していることからも明らかです。そこには、検査精度の向上で、より早い時期の胃がんがみつかり、早期に治療されているという状況がうかがえます。このことは逆に胃がんで亡くなられた人々は、早期に発見されなかったためと言えなくもありません。

平素から、軽微な症状に気をつけ、刺激物などを避け、ピロリ菌の感染にも留意することが大切です。そして、少しでも気になった時は、できるだけ高い精度の検査、できれば内視鏡検査を受けるようにつとめてください。

胃がんの症状について

胃がんに特徴のある症状があるわけではありません。また早い時期の胃がんでは自覚症状がでることは少なく、検診などで指摘されることが多いです。心窩部(みぞおち)の不快な感覚や空腹時や食後の腹痛、異常な膨満感などがある場合には、胃の検査を受けることをおすすめします。

胃がんの検査について

胃がんの精査は主に上部消化管X線検査(胃透視)と上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)があります。当院では早期発見により有効な検査である内視鏡検査(胃カメラ)を主に行っています。 がんを疑う病変に対しては、内視鏡で観察しながら鉗子(かんし)と呼ばれる器具で病変の一部を採取(生検)して、顕微鏡による病理診断を行い、がんの有無を調べます。


早期胃がん
(NBI画像)

上部消化管内視鏡検査のページへ

胃がんの病期分類(ステージ)について

胃がんの進行具合は、がんの深さ(T)、リンパ節転移の有無(N)、遠隔臓器転移の有無(M)から、胃がんの進行度(ステージ)が決まります。低侵襲の治療を行うためには進行度の低い段階で発見することが肝要です。当院では早期の胃がんの発見に努めています。


                                            [胃癌取扱い規約 第15版より引用(一部改変)]


胃がん治療の選択について

各種検査で得られた結果を総合的に判断し進行度に応じて内視鏡的治療、外科治療、化学療法などを行います。


              [胃癌治療ガイドライン(日常診療で推薦される治療法選択のアルゴリズム)より引用(一部改変)]

胃における早期がんに対する内視鏡治療手技が発達し、根治ができる症例が増加しており、従来の治療に代わる新しい治療法として注目されていますが、当院においても可能なかぎり早期がんに対しては 内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic submucosal dissection、ESD)を行っております。治療手技は内視鏡治療用の電気のメスで直接、病変部を切って剥ぎ取る方法です。


内視鏡治療では切除しきれない、つまり胃がんの拡がりや胃の近くにあるリンパ節をとる必要があると判断される早期胃がんに対しては腹腔鏡治療を行っております。 現在当院では、胃切除・切除後の再建を体内で行うため、切除した胃を取り出すための切開創(傷)はお臍の上約2〜3cmで十分であり、腹腔鏡補助下での手術よりも更に小さな創で手術を完遂する事が可能となります(完全腹腔鏡下胃切除術)。 当院での腹腔鏡下胃切除術は「完全腹腔鏡下胃切除術」を主に行っています。



また進行胃がん(深達度が筋層より深く浸潤している胃がん)に対しては胃周囲リンパ節の切除(リンパ節郭清)も含めた胃切除術が必要となります。早期がんよりリンパ節の郭清範囲を広く行うもので、基本的には開腹ですが、腹腔鏡手術でも積極的に行っています。

手術で切除した標本の病理結果(顕微鏡での検索)でstage(ステージ)U、Vであった場合、術後1年間の内服による補助化学療法(再発予防の抗がん剤治療)を行います。またある程度以上進行した胃がんに対しては治療効果を高める方法として手術の前に抗がん剤を投与する方法を選択する場合があります(術前化学療法)。

肝臓や肺、腹膜などへの転移、胃から離れた個所のリンパ節転移などがあり、手術で全てを切除できない場合(切除不能胃がん)には抗がん剤(化学療法)が治療の中心になります。ただし、がんによる症状が強い場合(出血、通過障害など)には、症状をやわらげるためにがんの切除やバイパス術(胃と小腸をつなぐ手術)を行うこともあります(緩和手術)。その場合状態が落ち着き次第、抗がん剤(化学療法)を行います。 抗がん剤(化学療法)により肝臓や肺、腹膜などへの転移や遠隔リンパ節転移などが消失するほどの奏効が得られた場合、がんの遺残がなく取りきれると判断した場合は手術を行うこともあります。