IVR治療とは、さまざまな医療場面で活躍の場を広げている治療法で、正確には「InterVentionalRadiology:インターベンショナルラジオロジー」、日本語では「画像下治療」と訳し、X線透視、CT、超音波、血管撮影装置など放射線診断装置を用いて行う検査・治療のことです。穿刺針やカテーテルを用いて、主に局所麻酔下に行い、外科的手術の様にお腹や胸を切らずに体の奥にある臓器や血管の治療を行います。 IVRには血管系の手技のみならず、非血管系(体表から病変部に対し専用の針やカテーテルを直接進め、病変の治療を行なう)の手技も含まれます。 |
●経皮的針生検 (肺・乳房・肝・腎・骨)
●閉塞性黄疸に対する経皮的胆管ドレナージ術
●経皮的膿瘍ドレナージ術(肺・肝臓・腎臓・腹腔内・骨盤内・術後創部など)
●食道がんによる食道の圧排および吻合部狭窄に対する食道狭窄拡張術
●肺癌や炎症による気道の狭窄や閉塞に対する気管・気管支ステント留置術
●尿管の狭窄や閉塞に対する経皮的腎(腎盂)瘻造設術
●圧迫骨折/骨転移に対する経皮的椎体形成術(PVP)
●腰部神経痛対症療法(注射)による神経根ブロック療法
【経皮的椎体形成術(骨セメント)の実際】
局所麻酔下で皮膚から椎体に針を刺し、骨セメントを注入することにより、椎体を内部から固定する方法です。骨粗鬆症による圧迫骨折で痛みを伴うもの、椎体の腫瘍(癌の転移など)による痛みを伴うものが適応となります。古い圧迫骨折による亀背や側弯が あっても、痛みがないものや、症状のないものは治療の適応となりません。症状が軽度であっても歩行時、起立時に痛みがあり、画像診断で治癒していない圧迫骨折がある場合は治療の適応となります。術前の画像診断にはMRI検査が重要で、病的骨折、骨粗鬆症性骨折、治癒していない骨折の診断に不可欠です。 |
治 療 前 セメント注入中 治 療 後
当院では各種の透視画像下に椎体形成術を行っています。患者様は画像装置台に腹臥位になって頂きます。皮膚に局所麻酔をして、透視下に針を骨折している椎体前方に挿入します。骨セメント(時間がたてば硬化する液体)を注射器にて椎体内にゆっくりと透 視で観察しながら注入します。手術時間は一つの椎体であれば30〜60分程度です。セメントにより背骨が補強され、痛みを緩和することができます。除痛効果は速効性で、注入直後より歩行可能となる場合も少なくなく、大半が24時間以内に痛みが良くなります。通常入院期間は1〜2日です。この術式に関してご質問等がありましたら、外来で御相談下さい。 |
【神経根ブロック療法の実際】
ブロック療法とは、飲み薬や理学療法、運動療法などでも治らず、日常生活に支障があるような場合に行います。一般的保存療法と手術的治療との中間的な治療と位置付けることができます。
●神経根ブロック療法● まず、腰痛箇所、診察所見、画像検査を元に、現在の痛みがどの神経根から発生しているのかを推察します。腰神経根は5本あり、例えば3番目と4番目の間にある椎間板ヘルニアでは、通常は3番目の腰神経根が圧迫され、腰や下肢に痛みが出ます。逆に、症状がとれなければ、他の腰神経根が悪いと診断できます。 |
脊髄(せきずい)から枝分かれした神経は脊椎(せきつい)と脊椎のすき間(椎間孔(ついかんこう))から出て、末梢に至ります。神経が椎間孔から出た場所あたりで神経根に、局所麻酔薬を注射するのが神経根ブロック療法です。一般的に神経根ブロック療法はレントゲン透視下にて行います。
当院では、CTを用いて神経を探します。直接神経根に針を刺すことはせず、その周りに注射しますので痛みは伴いません。
このように神経根ブロックには、治療効果および症状が持続する期間を短縮する効果もあります。但し、治療効果の度合は、患者さんによって異なります。 |
●トリガーポイント注射● 神経根ブロック注射は、痛みのもととなる神経根に局所麻酔薬を注射するのに対し、トリガーポイント注射は、痛みがある箇所に直接注射を打つ方法です。
当院では、神経根ブロック注射同様、CTを用いて痛む部位を中心に触診し、注射にて局所麻酔薬や消炎鎮痛薬などを注入します。深部の筋肉にまでピンポイントで届くトリガーポイント注射は、慢性痛に非常に相性が良く、大変有効であると言われています。 |
トリガーポイント注射の継続期間は患者様によってまちまちですので、症状次第と考えます。当院でトリガーポイント注射を行う場合、通常は1回投与後、症状をみながらそのまま継続するかどうか再検討しています。 |